遅漏の原因別改善法

性の問題は、身体、心理、他者との関係性、社会的規範などの要素が複雑にからみ合っています。従って、遅漏の問題も、どのような知識に基づいて問題のどこに力点を合わせるかによって、本来は様々な原因の考え方・語り方ができます。

そうした中、諸々の文献を参考にしつつ*1、分かりやすさを優先した単純化した原因分類モデルを作ってみました。但し、筆者は医学研究者でも医療の専門家でもありませんので、素人によるこうした安易な簡略化は誤解を招くかもしれません。よって、以下はあくまで遅漏問題の捉え方の数あるモデルの一つとして解釈して下さい。

全ての遅漏(膣内射精障害)の原因は、以下の3つカテゴリーのいずれか*2、または複数に入ると筆者は考えています。

遅漏の原因

原因A. オナニーのやり方

遅漏・膣内射精障害のほとんどの原因が、”負荷の高い、過度なオナニー”です(いわゆる、オナニー性遅漏*3)。

手や物などによるペニスへの刺激と、女性の膣から受けるそれとは、大きく異なっています。膣感覚はやわらかく包まれるような感覚であり、手や物による強いオナニーとは、物理的な快感が全く違います。

特に、うつぶせで布団や床にこすりつけるタイプ、机などの物を利用したタイプ、強グリップで激しくピストン運動させるタイプ、包皮を激しく動かすオナニーなど、負荷の高いオナニーを長年し続けてきたのであれば、それが遅漏の一番の原因だと疑いましょう。

また、強さだけでなく姿勢も問題になります。仰向けで足をピンと伸ばしながらのオナニー、いつも体を右に傾けてするオナニーなど、実際のセックスの体位とは異なる姿勢と射精快感が結び付いてしまうことで、その姿勢でしか射精し辛くなってしまうのです。

オナニーのやり方の治療法

対処法は、今までのオナニーのやり方を根本的に改善することです。オナニーをより現実の膣感覚、現実のセックスに近い方法に変える、またはオナニーをやめる(オナ禁)ことで、自然な膣内射精ができるようになります。

どんなやり方に変えれば良いのかは、オナニー性遅漏の治療法をご覧下さい。

勃起障害併発、射精タイミング不安定の場合

勃起障害を伴っている場合や、セックス時の緊張が強く射精が早かったり遅かったりと不安定な場合は、泌尿器科医、またはセックスカウンセリング可能な医師の診察を受けると良いです。必要と診断されれば、勃起薬や緊張を解く精神安定剤を処方してもらえます。漢方に詳しい医師であれば、漢方薬の場合もあります。

原因B‐1. 性イメージのズレ(フェティッシュ傾向)

性イメージとは筆者の用語で、性的興奮をもたらすイメージ、またはそれを通じて得られる性的知覚体験を言います。”イメージ”と言ってもビジュアルイメージのみを指すのではなく、聴覚・触覚その他、五感全てを含んだ知覚イメージです。(同じような意味で、”性感”というもっと便利で一般的な言葉がありますが、触覚的なニュアンスが前面に出てしまうため、また多少なりとも卑猥なニュアンスが出てしまうため、”性感”を用語とするのはあえて避けました。)

”性イメージのズレ”とは、オナニー時の好きな性妄想(いわゆるズリネタ)と、実際の女性との性行為から受ける内的な感覚とのギャップを言います。

現代の、特に若い男性は、程度差と範囲差はあれ、自分好みの固有の性的妄想、フェティッシュな嗜癖を持っていると思われます。具体的には、肉体の一部分(脚・胸etc)や衣装(制服・コスチュームなど)、特定のシチュエーション(第三者に見られながらのセックス・特定の場所でのセックス・フェラチオじゃないとダメ、など)、特定の物体(ラバー・皮革・下着など)、イラストやアニメの二次元キャラクターなどに過剰に欲情してしまう傾向です。

こうした特定の性妄想や状況に過度に依存したオナニー(セックス)をし続けていると、実際の女性とのセックスにおいて、挿入しても期待していたほど性感が高まらない、思ったほど気持ち良くない状況が生まれてしまいます。長年の習慣によりオナニーのやり方とその際の固有の性妄想とが脳内快感パターンとして強く結び付き、あくまで自分好みの妄想をしながら自分好みのやり方のオナニーしないと射精し辛くなってしまうのです。

特にアダルトビデオ好き・二次元アニメ好きの人であれば、極端な視聴覚刺激とフェティッシュなキャラクターやシチュエーションに影響されてしまいがちです。

性イメージのズレの治療法

フェティッシュな妄想傾向の強い方は、アダルトビデオやエロ漫画をズリネタにするのは止めるべきです。その上で、性妄想を意識的に現実の女性とのセックスに近付けることで、スムースに射精しやすくなります。詳しくは、性イメージ修正トレーニング性イメージ(性感)再構築の技術をご覧下さい。

凝り固まった知覚の働かせ方からうまく離れられない方は、性イメージ(性感)開発トレーニング性イメージ(性感)再構築の技術にて、特定の知覚と性イメージとを結び付ける訓練を地道に行うと良いです。

原因B‐2. 性イメージの抑圧

心理面での性的な葛藤(性に対する不安・性的な劣等感・性的な嫌悪感・射精することへの恐怖感・子孫拒否など)により、自分を性的にうまく解放できない場合の遅漏です。

あるいは直接性に関わる不安はなくとも、仕事面での重圧や将来の不安などからセックスそのものにあまり集中できない状態も、この抑圧カテゴリに含めます。勃起も射精もプレッシャーに敏感であり、その時の心理状態に成否が大きく左右されます。

いずれにせよ、この性イメージの抑圧は、単にセックス慣れしていないことによる軽度なものから、無意識での抑圧など背景要因の分かりにくい複雑なものまで、幅をもって存在します。

この場合、自分が安心して射精できる、セックスできるようになるまで自己のマインドを調整したり、その周辺環境を整えていく必要があります。またパートナー女性がいる場合、その協力も重要です。

性イメージの抑圧の治療法

抑圧の原因が単にセックス慣れしていないことによるものであれば、少しずつ女性との絡み合いに慣れ親しんでいくことで自然と解決していきます。ポリネシアンセックスなど、あえて射精を積極的な目的としないセックスから始めて、段階を踏んで進んでいくと良いでしょう。最初は焦って無理に挿入したり射精しようとはせず、お互い体を触れ合いながらリラックスしたコミュニケーションを取り続けることです。

抑圧が強い場合、セックス云々の前に不安の要因となっている問題を解決することが先決です。場合によっては、深いレベルでの何らかの自己の心理的葛藤を洗い出して、解決していく必要もあるかもしれません。あるいは、医師から処方される抗不安薬などの薬物を利用した方が解決が早い可能性もあります。セックスカウンセリングのできる医師や心理療法家に相談することをおすすめします。

パートナー女性に配慮してほしいこと

男性に何らかの心理的な不安がある場合、とにかくパートナー女性は男性をリラックスさせること、安心させてあげることです。性的劣等感やセックスへの不安感を男性が告白してきたら、それを一緒になって不安にがらずに、「そういうのあるよね~。でもあなたなら大丈夫。乗り越えられるよ」と優しく軽く受け入れて下さい。

男性はコンプレックスを含めて自分の存在をまるごと女性に承認されることを求めています。女性に自分のマイナス(と本人が勝手に思い込んでいる)部分を認められることで、男性は非常に楽になれます。そしてまた、そうした軽快かつポジティブな態度が、遅漏克服へ向けた男性のモチベーションを高め、男性が積極的に取り組むきっかけにもなります。

男性が射精に失敗しても、女性は決して慌ててはいけません。不安がらずどっしり構えて、男性を安心させましょう。男性はセックスや女性に対する恐怖感、不安感が消えれば、少しずつ開放的になれます。カップル間のオープンなコミュニケーションが解決のキーです。

その他パートナー女性が配慮すべき点は、遅漏彼氏をもつ女性へのメッセージ遅漏彼氏を救う方法をご覧下さい。

原因B‐3. 性イメージの欠損

性的な妄想自体をしづらい男性もいます。性的な感受性が弱く、刺激から性的な興奮をすることが苦手だったり、興奮から射精に至るプロセスにおいて何らかの壁があり、うまく発射できないのです。

そうした感受性を育てる機会が少なかった、あるいは全くなかったのが原因だと言われています。また、生まれもった知覚・脳機能の影響による人もいるようです。原因Aのオナニーによるものとは真逆のパターンです。

性的刺激→興奮→射精までのプロセスは、人間一人一人の走り方が微妙に違うようにそれぞれ癖があります。たまたま身につけた走り方の癖や先天的機能のため足の遅い人がいるように、たまたま身につけた射精プロセスの癖や先天的機能のため発射の遅い人もいるわけです。

性イメージの欠損の治療法

こうしたケースでは、性に対してよりオープンで敏感な感受性を育てていく必要があります。より早く射精できるやり方を試行錯誤していきましょう。

具体的には、”ズレ”の場合とは逆に、アダルトビデオや官能小説等、セックスメディアを積極的に活用し、性的な妄想力を鍛える方法が有効だと考えられます。例えば、リラックスした環境でパートナーと一緒にアダルトビデオを鑑賞し、視聴覚情報で興奮の強度を高めながらやさしくペニスを刺激する、などの方法があります。より詳しくは性イメージ(性感)修正トレーニング性イメージ(性感)開発トレーニング性イメージ(性感)再構築の技術を参考にして下さい。

原因C. その他

比較的原因が分かりやすいものから、複雑で分かりにくいものまで、様々なケースが考えられます。

  • 体調不良や疲労
  • 射精メカニズムに関わる先天的障害
  • 前立腺手術や心臓外科手術による影響
  • 前立腺や尿路への感染症
  • 糖尿病・脳卒中・脊髄損傷・骨盤内神経損傷などの、神経系疾患
  • アルコールや抗うつ剤などの薬物による副作用
  • 抑うつ症などの精神疾患

上記のような問題が背景にある場合、個別の原因に応じて、専門医(泌尿器科、精神科、神経科、心療内科等)の治療を受ける必要があります。自覚症状がある場合、該当の専門医に相談しましょう。

原因不明の場合は、どうすべきか?

原因が分からない場合、まずは近所の泌尿器科を受診し、身体機能に問題あるかどうかチェックしてもらいましょう。その後、症状に応じた解決策を医師と一緒に考えていくと良いと思います。問題が複雑な場合は、セックスカウンセリング可能な医療機関であれば、より適切な治療が期待できます。

筆者のケース

ふとんに強くこすり付けるオナニーの経験が長く、オナニーを完全にやめる(オナ禁)ことで何とか射精できたことから、主原因はオナニーでした。多少のフェチ傾向と、女性に対するコンプレックスもあり、それらを克服することで、よりスムースな射精ができるようになりましたので、性イメージの「ズレ」や「抑圧」もある程度ありました。詳しくは、管理人の遅漏克服体験談をご覧下さい。

注釈

*1:書籍ではセックス・カウンセリング入門(日本性科学会/監修)図解セックス・セラピー・マニュアル(ヘレン・ジンガー・カプラン/著)セックスレスの精神医学 (阿部 輝夫/著)、WEBではMedical Encyclopedia: Delayed EjaculationMayo Clinic: Delayed Ejaculationを主に参考にしつつまとめました。筆者の受けた個別の相談事例・掲示板やブログ等に公開されているオンライン上の体験談も考慮に入れています。

*2:刺激から射精に至るまでのメカニズムを情報処理プロセスとして捉えると、Aは入力方法の問題、Bは意識的な介入の可能な入出力処理プロセスの問題、Cは意識的な介入の困難な入出力処理プロセスの問題であると、おおまかに言い換えられます。さらに分かりやすく言うならば、人間をコンピューターに例えたとして、Aは入力する情報内容の問題、Bは主としてソフトウェアの問題、Cは主としてハードウェアの問題、となります。

*3:『オナニー性遅漏』という用語がWEB上で広まっていますが、学問上の用語としては明確に共有されていないようです。ただし分かりやすいので、当サイトでも”オナニーを主原因とする遅漏”をそう呼ぶことにしています。

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